なんだろう、山田尚子監督は実は原作を好きじゃない、ちょっと嫌いぐらいなんじゃないかと言う気がして来ました。
すごくクールな目で素材として見詰めてると思います。

原作のあくの強いとこ、ちょっと下品な展開とか、読者を嫌な気分にさせて関心を引き込むようなテクニックとか、
そういうのを片っ端から脱臭してあるんですよね。サラッと見られる聲の形になっています。
鳴り続けるピアノとともになんか回想される遠い幸せな記憶と言う感じ。
全編に渡って。台詞も結構細かく変えるし、原作を一旦殺して自分の慣れてるやり方でやり直すような作り方。
「お前のやり方は下品なんだよ!こうだ!」ぐらいの感じを演出にも脚本にも感じました。

原作の匂いを再現する気は薄いですね。自分のノウハウに強い自信とこだわりがある。
細かく付け足されたものが多かったのは植野ですが、ただカットされた真柴や佐原と違い、
意思を持って別の物に入れ替えた感があります。「いまの女子高生はもっとこういう喋り方をするんだよ!」みたいな。
「硝子と仲良くしなきゃいけないって理由はないだろ!」とか。
いや、やっぱり監督は原作好きじゃないんだと思うなあ。好きだったらこれだけ「それは違うよ」という声だらけの映画にはならない。

私は原作に最終的には色々疑問や不満をもった一方、少なくとも絵や芝居はかなり好きなのですが、
いろんなシーンで仕草や芝居がこつこつ変えられていて、そういうとこもほんとうに、再現する気なんか全然無いなと。
http://www.ketudan.jp/entry/2016/08/24/233419