「こういうテーマがある」とか、そういうことを整然と理屈で言えなきゃいけない、全部漏れなくしゃべらなきゃいけないなんてのは、病気です(笑)。
誰でも思いつくことで映画をつくってもしようがないんです。
「風立ちぬ」、この映画の中で、戦争反対からアジアの平和まで全部言わなきゃいけないとか、戦争責任についてとか、ちゃんちゃらおかしいですよ。
戦争中たとえ飛行機をつくらなくても、どんなジャンルでも、似たようなことを、ものすごくたくさんの人間たちが同じように体験しているんです。
それで、責任がないかといったら責任はある。だけど「おまえも自分で責任をとれたか」というと「とれない」という、ね。
そこを糾弾するのはイデオロギーです。「風立ちぬ」をつくってみて、
思いのほかイデオロギーに縛られている人間があちこちにいっぱいいることが分かった。つまらないですね。

by宮崎駿