堀辰雄の風立ちぬは普通の病弱少女モノを否定することで成立している。
その結果、映画の風立ちぬはプロット、テーマとも堀辰雄の風立ちぬに大きく影響を受けている。

以下堀辰雄の風立ちぬから

が、娘はその死苦のうちに最後まで自分を誠実に介抱して呉れたことを男に感謝しながら、さも満足そうに死んで行く。
そして男はそういう気高い死者に助けられながら、やっと自分達のささやかな幸福を信ずることが出来るようになる……」

そんな物語の結末がまるで其処に私を待ち伏せてでも居たかのように見えた。そして突然、そんな死に瀕した娘の影像が思いがけない烈しさで私を打った。

私はあたかも夢から覚めたかのように何んともかとも言いようのない恐怖と羞恥とに襲われた。
そしてそういう夢想を自分から振り払おうとでもするように、私は腰かけていた橅の裸根から荒々しく立ち上った。