イマイチのめり込めなかったのは全体的に茶番劇だったからかも。
祖母ちゃんの死、衛星落下による生命の危機のような一見悲劇的な出来事も
あれだけの親族がいれば喜劇になってしまう。
もちろん細田はあえて主人公を分散するような形にしてそれを狙ったんだろうけど。
チャップリンの、人生はクローズアップで見れば悲劇、ロングショットで見れば喜劇という言葉通りに。
時かけはタイムトリープして他人の人生を変えてしまう恐怖を一人で背負う主人公に感情移入して観客も恐怖を
感じられたけど。今回のサマーウォーズはそういうものは一切なかった。
ただ、今回の作品は別の見方が出来て、祖母ちゃんが死んで子供のように泣くナツキ、戸惑いながらも手を握るケンジ。
大切な人の死という状況でも甘酸っぱいような気恥ずかしさを感じさせられるのは一重に
大家族に囲まれているという安心感があるからに他ならない。
逆に言えば、もし家族が誰もいなかったら。祖母ちゃんとナツキ二人きりの家族だったら。
それは途方も無い絶望感しかなかっただろうね。
人工衛星落下という生命の危機に対してもあそこまでアグレッシブに対応できなかっただろうね。
沢山の家族に囲まれていたなら例え衛星が直撃して全滅したとしてもそれはそれで
みんな一緒に死ねるんだから、あまり悲壮感も無い。安心感があるから大胆に行動できる。
つまり、テーマはエヴァンゲリオンと同じ、孤独は死に至る病。
核家族化どころか結婚率も下がり生涯を独身で終える人間が多く出るであろう
今の若者に向けた喜劇を装った悲劇。
リア充にはコメディに見え、そうじゃない人間には悲劇に見える。
細田監督の悪意が垣間見える深い作品だったね。