もちろん、小説版に出てる通り、水野さんの事が好きだと思って付き合い始めてるが
比較の対象を無意識のうちに明里とキスした時に感じた切実な感情にしてしまい、
そこまでにはならなかったんだろう。

明里の場合は『草の竪琴』読んでるところから考えて、相手と世界の中で二人きりだけに
思ってしまうような関係が、子供から大人に変わる時にのみ成立する特別なもので
人生の中で二度とないと理解できてる。だから、貴樹とのことは大切な想い出とした上で、
普通に恋愛関係を他の相手と結べている。

貴樹の場合は、その自覚が無く、明里と二人きりの世界を夢想していたような、
特別な感情を再び持てると期待していた。でも水野といくら時間を過ごしても、
期待していた感情にならないので、「まだ途上に過ぎない」と思い、「でも、どこへ
向かっての?」と、一体、自分が求めているものが分からなくなっていた。