タエ子は、観客を田舎に行かせるための持ちカードじゃなかったんですか!

重要なのは、田舎にいるのは良い人たちだけだと観客が信じていることであって、
実際の田舎の人が善人だけかどうかは問題じゃあない。

…それなら、なぜ?

現実を喝破されるリスクを冒さず、しかも客に田舎の人の善し悪しを確認させない
ために、取るべき方法は一つしかない。
いいか、タエ子はその可能性を留保し続けるために、ここで映画を終わらすしか
ないんだ。そんなことは、修羅場を踏んできたタエ子自身、先刻承知のことだ。

街を捨てて、農家の嫁に行きたくなったか?
だがな、農作業の頭巾をかぶって、田舎者と隣合せに暮らしても、都会の人間が
田舎者になれるわけじゃあない。自分の手で都に運んだ紅で化粧しても、田舎者の
素性が決して消えないようにな。

わたしは一体……

どうしたらいいか教えてほしいか?
田舎者と関わりを持った都会人の物語に結末を付けろ。
おまえが都会人でいられる間に。