『On Your Mark』
冒頭、のどかな田園風景の中に建つ奇妙な構造物
そしてその直後に、
出てくる放射能注意の マークのついた
トラックーこのフィルムは
「On Your Mark」の歌詞が表現しているものとは
別の世界を表しているように見える。
宮崎監督はこの作品について
「アニメ-ジュ」誌上で以下のように語っている。
「『On Your Mark』=『位置について』という
  意味の歌だけれど、その内容をわざと曲解して作っています。
  所謂世紀末の話。放射能があふれ、病気が蔓延した世界。
  実際、そういう時代が来るんじゃないかと、 僕は思っていますが。
  そこで生きるとはどういうことかを考えながら作りました」
さらに、二人の警官が救い出す天使は、混沌とした
世界の一筋の希望のようにも見えますが、という問いに対して、
「彼女が救世主だったり、救出を通して彼女と
  心の交流があったわけではないんです。
  ただ、状況に全面降伏しないで、自分に希望、
  ここだけは誰にも触れさせないぞというものを
  持っているとしたら、それを手放さなければならないのなら
  誰の手にも届かない所に放してしまおうという。
  そういうことですよ。」と答えている。
「放した瞬間に心の交流がちらっとあったかもしれないけれど。
  それでいい、それだけでいいんです。…きっとまた
  彼らは警官の仕事に戻るんです。戻れるかどうか知らないけれど。」
”戻る”彼らはどこの世界に戻るのだろうか。
歌詞にのっとっていえば 「流行の風邪」の蔓延する
世界ということだろう。そうした世界にあっても
”天使”に象徴されるような希望やドキドキすることがある。
だから生きる(戻る)しかない。
それが宮崎監督の我々へのメッセージではないだろうか。